セーヌ川とエッフル塔

 ドイツなどからフランスへ入ると、フランスはほとほと「ラテン系!」を実感させられる。日本人の感覚では全く通用しない。何が起きようが、「だってフランスだもん」でわりきろう。
 フランス人はプライドが高いから英語を知っていても絶対に話さない。と、よくいわれるが、これはどうやらほとんどの場合、日本人の勘違いのようである。たしかにそういう人もいるだろうが、たいていの場合は、実は本当に英語を知らないのだ。知らないモノは喋れないからフランス語を話すしかないのだ。お隣のドイツやスイスでは英語が腹が立つほど通じるので、同じヨーロッパのフランス、しかもイギリスはお隣の国、ある程度は分かるんじゃないかと思ったら大間違い。全く通じません、日本国内よりも英語は使いモノになりません。まだ陸続きであるためかドイツ語の方が通じるようです。たしかにフランスはドイツやスイスに比べて就学率なども低いようです。 ある人が空港の職員に英語で話しかけたが、英語で話してくれなかった、空港の職員が英語を知らないはずはないから、やはりわざとフランス語しか話さないんだ。と言っていたが、それはやはり日本人的考えで、そこはそれ、フランスだもん、空港職員だって英語知らなくても当然じゃん。だってフランスだもん。
 地下鉄の切符売り場のどこの窓口にも計算機が置いてある。何に使うんだろう? じっと見てると、切符や回数券やカードを買っている人を見ると、みんながみんなその計算機を使ってなにやら計算してお金を渡している。ヨーロッパ人は引き算が弱いから、お釣りの計算は足し算式でするという。たぶん暗算が出来ない人が多いのだろうと理解した。 また、駅の窓口のねーちゃんも私服でタバコをスーハーしながら、なんか異様に長い不思議なマイクになんかしゃべりながら切符等の販売をしている・・・。  また不思議に思ったのが切符の自動販売機があるが、どこの駅にも1台しかなく、無い駅もあった。そしてその自動販売機を使っている人はほとんどいないのだ。窓口は人が並んで切符を買っているのに? よし、ここはひとつ自動販売機に挑戦してみよう! なんか数字のボタンが9つほどあるぞ。1を押しちゃえ! すると画面に「1・切符か、2・回数券か、どっちにするかい?」みたいなおフランス語が現れたので、また1を押す。そうすると、こんどはよく分かんないけど、だぶん「1・片道か、2・往復か」ときいているのだろうと思いまた1を押す。すると別の小さい方の画面に「8Frなんとか」と現れたので、よしうまくいったぞ!と思い、10Frコインを投入した。するとガチャガチャと音がし出した・・・・  ・・・・?・・・? あれ?おかしいぞ?まだガチャガチャいっている、どうしたんだ?切符もお釣りも出てこない!どうしよう!・・・と、焦りかけたとき、やっと切符とお釣りがカタンと出てきた! ・・・そうかぁ、ここはフランスだ、日本の切符販売機みたいに速攻で出てこないんだ。なるほど、自動販売機もきっと計算するのが苦手なんだ。みょうにあっしは納得した。だってフランスだもん。
 それからパリの地下鉄のドアは、自分で開けないといけないのだが、なんと列車がホームに入ってまだ止まらないうちからみんな扉を開けて、まだ動いてるっちゅーに列車から降りちゃうのです・・・。パリで日本の地下鉄みたいに、完全に列車がホームに止まるまで待っていたら、「なにやってんだ、さっさと降りろ!降りないんだったらどけ!」とか言われそうです・・・。でも、車掌も完全に止まらないうちにドアロックを解除しているところが、なるほどやはりフランスなのです。  フランス国営の駅の職員だって、ジーンズはいて列車の行き先や時刻案内の看板を変えていた。これじゃあ近所の鉄道マニアか変なおっさんがホームに入ってきて勝手にプレート変えちゃっても分かんないよ!ヨーロッパの駅の改札は基本的に無いんで、だれでもいつでもホームに入ってこれるから・・・。あのおっさん実は近所のヘンなオッサンだったんじゃないだろうなぁ? だってフランスだもん。  パリの公衆トイレにはたいてい、おばちゃんがいてお金をとる。また有料の自動公衆便所機もけっこうある。しかしこれ、人通りの多い通りや広場の一角にあって、その公衆便所機の周りを大勢の人々が行き来している。そんな中で、読めないフランス語の説明を見ながらもたもたコイン入れて入ろうとしてたら、いかにも、「あの東洋人、これから便所に入ってスッキリすんのかよ。ウンチしたいのかよ〜」ってな目で見られる。さらにもたもたしていると、親切な英語の分からないパリジェンヌあたりがわけわかんないフランス語で使い方を教えてくれようとするぞ! パリの街は、街の美観に気を配っていると言うが、この公衆便所機はかなり美観を損ねていると思うが? またこの公衆便所機、使用後に扉を閉めると室内に水が噴き出して洗浄するようだが、それを知らない日本人が、ウンチして、それを流そうと思ってもいつものレバーが無くて、焦る人が多いという。それから、小便だけなら2人で利用すれば一人分のコインが浮くや、などといって、一人目が終わった後、扉を完全に閉めないでおしっこをしていたところ、また、英語の話せないパリジェンヌが来て、訳のわかんないフランス語をしゃべくりまわされたので、思わず扉を閉めたところ、まだ中でおしっこしてるのに水が吹き出してきて洗浄が始まり、びしょ濡れになったという笑えないけど笑っちゃう話もあるようです。だってフランスだもん。
 パリの街でボーッとしていると、よく若い女の人にぶつかって来られた。すると、ニコッて笑顔で「パルドン」といって去っていく。パリは大変スリが多いので、もしやと思い貴重品等を確認したが大丈夫だ。パリジェンヌは前をよく見ないで歩く人が多いだけなのだろうか? でもパリはほんとスリが多いから気を付けないといけない。スキをみせればまずやられる。十人に一人はスリだと本気で思っているぐらいでないと日本人は必ずカモになる。気を付けるべし。
 こんなパリジェンヌもいた。日本人の店員もいる観光土産店で買い物をしているふりをして、トイレをかりようとした。日本人の店員にトイレの場所を確認し、(日本語で「男性用トイレ」と書いてあった)トイレに入ろうとしたら、「ノンノンノン・・」といいながらパリジェンヌがやってきて、いまおいらが入ろうとした男性用トイレに割り込んできて、その女が入ってしまい、扉も閉めずにトイレットペーパーで鼻をズゥーンッとかんで、手を洗って、髪をとかして、パルドンの一言もいわずに黙って去っていった。??? おいらは、分けも分からずじっとその光景を見ているしかなかったぞ。??? ここはフランスだもん。 もうなにが起きてもおどろきはしない。 もし今、パリジェンヌの流行の髪型がモヒカンで、若い女の子がみんなモヒカン刈りにしていても、なるほど、これがフランスパリだと納得しただろう。
   パリの同じホテルに2泊した。一泊目の夜、バスタブの電球が急に切れてしまった。ロビーに電話して電球交換を依頼した。・・しょうがないなぁ、これもフランスかぁ、などと電気のスイッチをパチパチさせてたら、「あっ! 電気がついちゃったよ!」 どうしよう、もうすぐ英語の話せないフランス語しかわかんないボーイが来ちゃうよ! ・・・えっ〜、なにこれ!  「コンコンッ」あっ、来ちゃったよ! やはりフランス語しか話せないボーイが入ってきて、バスタブの電球を見て「あれ?ちゃんとついてるじゃん」みたいなこといっていたけど、わたしゃフランス語が分からないから何の説明もできず「パルドン、メルシー」としかいえず、さっさと帰っていただいた。やっこさん、「日本人はわけわかんねぇ〜」とでも思ってるんだろう。・・おまえらフランス人だけじゃなく、メイドインおフランスの電球の方がわけわかんないよっ!
 一泊目は小銭をもっていなかったので、チップがおけないぞ! タオルとかベッドメイキングしてくれないかもよ。そうだ、とりあえず日本の50円玉とスイス2フランを置いておこう。50円玉は穴が空いているコインだから、外国人には珍しいから喜ばれるときいたことがあるぞ。それに折り紙なんか折ってメルシーって書いとけばいいとかなんかの本に書いてあったぞ。よしそうしよう! そして、船を折って、中に50円玉と2スイスフランを入れてテーブルの上に置いて出かけた。 そして、その日の夕方部屋に帰ってくると、なんと、そのままコインは残されていた。受け取ってくれなかったのだ。ベッドメイク等はきちんとなっていましたが、50円玉も船の折り紙もお気に召さないようです。 たぶんメイドの人、「日本人は分けわかんないなぁ」とでも思っているんだろうな。 そしてその日の夜バスタブの電球をつけて、さあ、という時、また電球が消えた。またかよ・・、こんどはスイッチには触らないよ! ロビーに連絡して来てもらうが、「50分後に行きます」とのこと。えっ!50分後? なんで、50分も待たすの?今使いたいんだけど・・でも、フランスだから・・・。 翌日、ホテルを去る朝、今度は小銭を持っていたので、チップ10フランと折り紙の船を置いた。でも、そこでふと思った。日本の穴の空いたコイン、50円玉をどうしても受け取って欲しかったのだ。そして最後なんだからもう受け取るしかないはずだと思い、50円玉を無理矢理置いてきた。どうせ、おいらはわけわかんない日本人だもん。