<吉岡くんの街道をイク>


 ”シリウスと玄武岩”
 ある真夏の、北アルプス薬師岳・太郎平キャンプ場の夜は、真夏といえどもかなり涼しい。
テントの外に出てみると、空一面の星空である。なんともロマンチックな風情であろうか。
そんなとき加藤君が、一緒に登山に来ていたオネェさんに星空を指さして、
「ごらんっ、シリウスだよ」
と、ニコニコしながら言った。
オネェさんは鼻で笑った。
その様子を見ていた吉岡くんが、足下に転がっていた石を拾ってオネェさんに、
「ごらんっ、玄武岩だよ」
と真面目な顔をして言った。
オネェさんは大口開けて大笑いした。
 ・・・・ちなみにシリウスは、真夏に北半球では見えないようです......。


 ”三陸海岸”
 吉岡くんが東北の三陸海岸を、バイクで八戸市から久慈市に走っていた。
すると青森県警のおまわりさんが国道で交通検問をしていた。
吉岡君は停車させられ、
「どこまで行くの?」と訊かれ、
「久慈市までです」
「ええっ? 何処だって?」
「久慈市です。」
「ええっ? なんだってーェ?」
「だから、この先の岩手県のくじし!
「ああ、、あんたそれはくずすぅだ〜ぁ」
なんとも平和なおまわりさんである。


つづく